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私の膵臓がん治療コンセプトと方針


現在、化学療法は、基軸薬剤であるgemcitabineを中心に展開しており、他薬剤との併用、投与法の工夫、さらには他治療との併用、などがテーマです。そして膵臓がんに対する集学的治療は化学療法ぬきには語れません。治療においては、効果と安全性、そしてQOLのバランスが良好に保たれることが重要ですが、加えて、出現頻度が高い(約4割)予後不良因子である肝転移にしての配慮も必要です。

膵臓がんの集学的治療においては、肝動注化学療法も状況に応じて考慮すべきでしょう。私は、切除症例には肝動注を術後最低1年間、また、切除不能症例には肝局所動注化学療法を継続的に行うことがよいと考えています。肝転移対策を意識した内服抗がん剤治療としては、経門脈的に肝に至るTS-1内服などもよいと思います。もし消化器症状が軽く動注化学療法とTS-1を併用できるならば、より効果が期待できます。

以前、北海道の本間先生が報告した膵周囲血行塞栓を併用した局所(肝)動注射化学療法の優れた成績は(Cancer. 89:303-13.2000)、集学的治療に動注射化学療法をコンビネーションさせる意義と可能性を十分に示しています。一般病院で可能な切除不能局所進行膵臓がん患者さんに対する治療内容としては、まず開腹して肝転移とがん性腹膜炎のないことを確認できれば、幽門側胃切除を含む胆道消化管バイパスを行い、術後カテーテルを留置してから肝局所動注化学療法を行う、というのがひとつの手立てではないでしょうか。




私の膵臓がん治療方針


簡潔に示すと次の1〜5が治療方針となります。

1.  切除可能な膵臓がん[遠隔転移(肺転移、肝転移など、また広範なリンパ節転移) がなく、さらに(治癒)切除が可能である場合]
    →切除と術後肝動注化学療法を行った後、全身化学療法を継続します。
2.  切除不可能な膵臓がん [遠隔転移はないが、(治癒)切除が不可能である場合]
    →バイパス手術を行い、術後に肝局所動注化学療法を行います。
3.  切除不可能な膵臓がん [肝転移がある場合]
    →肝動注化学療法を行います。
4.  切除不可能な膵臓がん [肝転移以外の遠隔転移がある場合]
    →全身化学療法を行います。
5.  切除不可能な膵臓がん [肝転移もそれ以外の遠隔転移もある場合]
    →対症療法を行います。

開腹所見に基づいた正確な病期判定は適切な治療を選択するうえで重要ですので、がんの切除が困難な患者さんにも原則的には開腹手術を行い、腹腔内の遠隔転移がなければバイパス手術がよいと考えています。バイパス手術(幽門側胃切除、胆嚢摘出、胃空腸吻合、胆管空腸吻合)により黄疸や消化管閉塞への対応、円滑な動注カテーテル留置、そして動注化学療法中のリスク軽減が可能であるからです。




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